よい子のやめ方〜高校教員をやめるまでの道のり〜

よい子の人生を送ってきたけれど、ふとこのままでいいのか悩んだあなたへ。一緒によい子をやめる練習しませんか?

わたしよりだめなやつがきた

ドラえもんの中に、

 

「ぼくよりだめなやつがきた」という話がある。

 

のびたのクラスに転校してきた多目くんは、

 

のびたよりも成績が悪く、

 

足も遅く、

 

スポーツも下手だった。

 

 

のびたは「僕よりダメなやつがきた」と喜んで、

 

一緒に宿題をやっては

 

「まだ解けないの?遅いなあ」みたいなことを言ったり、

 

しずかちゃんの前でかけっこをして多目くんを負かしたりして

 

優越感にひたる話。

 

それをみかねたドラえもん

 

「配役入れ換えビデオ」で

 

多目くんをのびたに、

 

のびたをスネ夫に入れ換えてのびたに見せる。

 

そのとき、のびたは

 

自分が多目くんにしてきたことが、

 

これまでのびた自身がスネ夫ジャイアンからされて

 

辛かったこと、悔しかったことだったんだと

 

初めて理解することになる。

 

そして、スネ夫ジャイアンに多目くんがいじめられたとき、

 

多目くんをかばったのびたは

 

ボコボコになぐられてしまう。

 

 

 

 

昨日、夫に、

 

「私、苦手な先生がいる。

 

仕事ができて、キラキラ先生には優しいのに

 

そうじゃない先生には厳しいY先生。」

 

と愚痴をこぼした。

 

 

 

夫は少しだまってから、

 

「ぼくよりだめなやつがきたっていう

 

ドラえもんの話、知ってる?」

 

と言って、このあらすじを教えてくれた。

 

 

 

 

「あなたはY先生が嫌いって言うけどさ、

 

あなただって、同じ学校で

 

仕事ができなくて、空気も読めなくて

 

一緒にいてしんどい先生がいるって、

 

言ってたよね。」

 

 

 

 

 そうなのだ。

 

うちの学校の女性の先生で、

 

かなりクセのある変わった人がいる。

 

悪い人ではないのだけれど  

 

明らかに人と関係作りをするのが苦手なタイプで

 

空気もよめず、回りの人をカチンとさせてしまうために、

 

ないがしろにされることも多かった。

 

私は彼女が苦手だった。

 

私のプライドを逆撫でするような、

 

小バカにしている話し方も嫌だったし、

 

(本人に悪気はないのだけど。)

 

空気が読めないのに、

 

キラキラ先生たちに堂々と冗談を言って、

 

場をしらけさせてしまうその鈍感さに  

 

腹が立った。

 

 

 

あなたは、私と同じで

 

キラキラ先生たちには混じれないんだよ。  

 

なぜそれがわからないんだ。

 

 

 

 

恥をかいていることにも気づかない彼女を

 

私はいつもどこか見下していた。

 

 

キラキラ先生には言わないような失礼なことも、  

 

彼女には言ったりした。

 

「今忙しいんで、その仕事はできません」とか

 

「そのデータ、フォルダに入ってるはずだから、

 

自分でさがしてみてください。」とか。

 

まさに配役入れ換えビデオだ。

 

 

 

 

夫に指摘されたとき、

 

しょんぼりしてしまった。

 

 

これだけさんざん、

 

キラキラ先生のこと書いておいて、

 

私だって一緒じゃないか。

 

誰かを見下して、優越感にひたって、

 

人によって態度を変える。

 

 

 

 

私「わたしものびたと一緒だ。

 

どうしたらいいのかな。」

 

 

夫「その女性の先生に、優しくしてあげて。

 

あなたが出来る限りでいいから。」

 

 

 

先生に諭された小学生みたいに、

 

私はだまってうなずいた。

 

 

 

新年度の文掌配置の結果、

 

その女性の先生が今やっている仕事を

 

私が引き継ぐことになっていた。

 

その先生は、とても丁寧な引き継ぎ書をくれた。

 

私は何回もお礼を言った。

 

明日は、お礼にお菓子を買ってきますから、と約束した。

 

引き継ぎ書のおかげで、

 

今日はずいぶん仕事が進んだ。

 

自分の器の小ささに、ただただあきれる。

 

私を疑わない先生に、救われる。 

 

 

 

 

ドラえもんの話のなかでは、

 

多目くんはまた転校してしまう。

 

彼は引っ越しの前にのびたに、

 

「一緒に勉強したり、

 

スポーツしたり、

 

いじめっこからかばってくれたり、

 

そういうことをしてくれたのは

 

君が初めてだ。

 

君のこと、忘れない。」

 

と告げて、去ってしまう。

 

 

ちゃんと、反省したのび太になれるように、

 

明日もちゃんと彼女にお礼を言おうと思った。