よい子のやめ方〜高校教員をやめるまでの道のり〜

よい子の人生を送ってきたけれど、ふとこのままでいいのか悩んだあなたへ。一緒によい子をやめる練習しませんか?

稽留流産① 検診

少し気持ちが落ち着いて来たので

 

流産のときの気持ち、

 

手術のようす、

 

術後のようすを書いていきます。

 

時々のろけます!

 

 

 

その日はゴールデンウィークの初日で

 

夫は用事があったため

 

私一人で百貨店に買い物に来ていた。

 

結婚祝いに職場からもらった

 

百貨店商品券を使いたくて

 

つわりをごまかしごまかしお買い物。

 

お腹をさすりながら、

 

食べないと吐き気がするため

 

ゴールデンウィーク真っ只中の

 

激混みの食堂で昼食をとり、

 

無事帰宅。

 

いつもの自分なら、

 

人混みなんて疲れなかった。

 

妊娠してると

 

できることが少なくなるな~

 

なんて思いながら

 

家に帰ってトイレで用を足していると、

 

茶色のおりものがペーパーについていた。

 

便器の底に、スプーン三杯くらいの

 

茶色のおりものがたまっていた。

 

 

 

つい先日、母親から

 

「どんなに、少量でも

 

血が出たらすぐに病院にいけ」

 

と電話で言われたばかり。

 

 

 

 

頭が真っ白になる。。。一方、

 

どこか冷静な自分もいた。

 

 

茶オリ?よくネットで妊活調べてたら聞くけど

 

結局何ともありませんでしたって言われるやつ?

 

私、二週間前の検診で、

 

「心拍もある!元気な赤ちゃんだよ」

 

「すぐに授かれてよかったね。」

 

不妊治療の人もたくさんいるもんね。」

 

って言われたばかりだよ?

 

 

 

最初は頭は冷静だった。

 

これまで行っていた病院は

 

休日おやすみだったので、

 

近くの総合病院に電話。

 

すると、助産師さんが出てくれて、

 

休日だから救急の入り口から入れと言われる。

 

私たちは車がないため、

 

何かあればタクシーを呼べばいいと思っていたので、

 

急いでネットでタクシーを調べる。

 

 

でもこのとき私はケータイの速度制限がかかっていて

 

なかなか検索結果が出てこず、

 

やっとタクシー会社の番号にたどり着くも、

 

6件ほどかけてすべて繋がらない。

 

やっとつながっても、配車できる車がないと言われる。 

 

ゴールデンウィークの真っ只中。

 

時間はちょうど6時半。

 

観光客がタクシーを使っているんだろう。 

 

 

 

 

このあたりで、ようやくパニックになった。

 

やばいやばいやばい。

 

赤ちゃんが死んでしまう。

 

もう電車でいくしかない。

 

かばんに母子手帳とこれまでのエコー写真や検診結果をいれて

 

家を出ようとすると、鍵がない。  

 

鍵をとりに帰ると、財布を忘れたことに気づく。

 

手が震える。

 

家を出て駅に向かう。

 

走ったら赤ちゃんに悪いかな。  

 

どうしたらいいんだろう。

 

泣きながら、さっき繋がらなかったタクシー会社に

 

ダメ元で再度電話をかける。

 

やっと繋がる。

 

5分で家の近くまで来てくれるという。

 

泣きながらタクシーを待っていると、

 

ちょうどそこに一台のタクシーが!

 

てっきり自分の予約したタクシーと思い込んで

 

運転手に話しかけると  

 

「予約?違うよ。あんたどこの会社に予約したの?」

 

と言われる。

 

ここでまた頭が真っ白に。

 

電話をかけすぎてどこのタクシーを予約したのかわからない。

 

無言でその場を離れると、

 

運転手が何か悪態ついてるのが聞こえてくる。

 

けどなに言ってんのかよくわかんない。

 

泣きながらタクシーを待つと、ようやくやってきた。

 

 

 

 

車内で夫にラインする。

 

泣いていたけど、まだこの時は

 

「結局大丈夫なんじゃないか」

 

という思いだった。

 

だって、よく妊活マンガであるじゃん。

 

焦って救急車呼んだけど、

 

何ともなかったってやつ。

 

あれなんでしょ?お願いだから、そうであってほしい。

 

 

病院についたら、

 

休日なのに救急の受け付けの人が多いこと多いこと。。。

 

 

この頃は不安でもうぼろぼろ泣いていた。

 

私の前に受け付けしているおばさんが、

 

足を骨折しただのなんだの

 

長々と話している。

 

遮るわけにもいかないのでおとなしく待つが、

 

「骨折なんて受け付けすぐじゃなくてもいいじゃん!!

 

早く私を通してよ!ーーー」

 

と叫びそうになるのを、ぐっとこらえて待つ。

 

 

やっと私の番になったとき、

 

「妊娠3ヶ月なんですけど、出血して。。。」

 

と言った瞬間、涙が溢れてきた。

 

受け付けの人は、

 

動揺させないように極めて事務的に

 

問診票と番号札をくれた。

 

 

やっとここで夫と合流して、婦人科の診察室に行く。

 

担当してくれたのは、女性のお医者さんだった。

 

泣きながら服を脱いで診察台にのる。

 

 

 

お願いです。どうか。どうか、

 

何事もないよって言ってください。

 

 

 

このときは、「そうは言っても赤ちゃん大丈夫なんでしょ?」

 

という自信はもうなかった。

 

不安でいっぱいだった。涙が止まらない。

 

 

 

お医者さんは、膣にエコーをいれて

 

長いこと診察していた。

 

モニターに赤ちゃんがうつる。

 

二週間ぶりにみる、赤ちゃんの姿。

 

白いチカチカが見える気がする。

 

心拍がある気がする。

 

 

でもお医者さんは、

 

「下からのエコーでは見えにくいので、

 

お腹の上からのエコーもみますね」

 

と言った。

 

 

お腹にジェルが塗られて、

 

エコーを当てられる。

 

 

 

「予定日はいつ?

 

前回の診察のエコー写真はある?」

 

予定日を伝え、エコーを渡す。

 

 

お医者さんは、カーテンを開けて

 

ゆっくりと話し出した。

 

「下からも上からもエコーを見たけど、

 

心拍が確認できません。

 

そして、前回のエコーのときと、

 

赤ちゃんの大きさがほとんど変わりません。

 

 

本来なら、週数的には4~6センチになるところですが

 

2センチで止まっています。

 

 

おそらく、前回の検診の2、3日後には

 

赤ちゃんは亡くなっていたと思われます。」

 

 

先生は、言葉を選んでゆっくりゆっくり話してくれた。

 

私は診察台で足を開いたまま、

 

目を押さえて泣き出してしまった。

 

「旦那さんに入ってもらいますか?」

 

と聞かれ、無言でうなずいた。

 

夫にも先生は同じ説明をして、

 

今日は辛いだろうから今日は帰って、

 

今後のことを話すために

 

また改めて診察においでと言ってくれた。

 

 

診察台から降りると、

 

先生は赤ちゃんのエコー写真をくれた。

 

 

前回から、2ミリ程度しか大きくなっていない赤ちゃん。

 

「足が見えますね。

 

あと、へその緒も見えます。」

 

もう死んだ赤ちゃんのエコー写真をみながら、

 

 

「前回のときは、元気な赤ちゃんって言われた」

 

「もう元に戻らないんですか?」

 

 

と泣きながらたずねた。

 

そんなの、答えはわかりきっていたけど、

 

納得いかなかった。

 

 

先生はとてもとても、気の毒そうな顔をして、

 

さっきと全く同じ説明を繰り返した。

 

「落ち着くまで、この部屋にいていいからね。

 

何かあったら、隣の部屋にいるからね。」

 

と言って先生と看護師さんは出ていった。

 

夫に抱きついてわあわあ泣きながら

 

でもいつまでもこの部屋にいるわけにもいかないと

 

頭の片隅で思っていた。

 

 

自分も教員だから、

 

パニックになった生徒や保護者を落ち着かせるため

 

別室に移動させたり、

 

話を聞いたりすることがある。

 

でも、教員にも授業があり、勤務時間がある。

 

夜間とは言え、この病院にも次の人の診察があり、

 

先生や看護師にも勤務時間がある。

 

早く落ち着いて、この部屋から出なければ。

 

 

でも、自分が悲しいときに

 

同僚とか上司とかじゃなくて

 

お医者さんや看護師さんという、

 

今手放しに頼ってもいいという人たちを前にして、

 

その優しさにもう少しだけ甘えていたかった。

 

 

ふだん、関係の深い人であればあるほど

 

甘えたり頼ったりするのが苦手な私にとって、

 

お医者さんやカウンセラーの先生は、

 

堂々と甘えられる、貴重な人たちだった。

 

 

 

ひとしきり泣いたところで、

 

次回の予約をして、家に帰った。

 

看護師さんもお医者さんも

 

肩を何度もさすってくれて、

 

つらいね、悲しいね、と言ってくれた。

 

 

 

このときは、もちろんまだつわりもあって

 

空腹時に気持ち悪くなるタイプの私には

 

朝起きたときと、夕食時が一番つらい時間帯だった。

 

 

気持ち悪さを我慢して、

 

電車で夫と帰宅。

 

 

 

夫も相当疲れていたのか、

 

買ってきたコンビニ弁当を半分食べて

 

あとは残していた。

 

 

私は床に転がって、夫が弁当を食べる横で

 

手を繋ぎながら吐き気をがまんして

 

イチゴを食べていた。

 

 

その日の夜、エコーを何度も見返して

 

何度も泣いた。

 

夫に抱き締めてもらいながら、

 

何回も何回も泣いて、

 

波が収まったら少し話をして、  

 

また発作のように泣き出す、というのを繰り返した。

 

赤ちゃんいつ死んでたの?

 

つわりでしんどいながらも

 

通勤でバスに乗ってたときも?

 

お腹に話しかけてたときも?

 

赤ちゃんのこと、毎日考えて

 

未来しかみていなかったのに、

 

もう死んでたの?

 

なんで?

 

学校の先生たちにも、つたえたのに?

 

全体には言ってなかったけど、

 

同じ学年の先生たちには報告したし

 

ついこの間飲み会でも、

 

妊娠しましたって言ったところだよ?

 

また部活やらないといけないの?

 

またみんなに、赤ちゃん死にましたって

 

報告しないといけないの???

 

 

 

 

 

特にこの、

 

「~~していたとき、

 

すでに赤ちゃんは死んでいた」

 

というのが本当にキツかった。

 

あんなに赤ちゃんのこと考えていたのに

 

もうそのときには心臓が止まっていた。

 

このショックは、

 

この日の後も、何度も突然

 

波のように襲ってきた。

 

例えば、

 

ツツジがもう枯れちゃったね」

 

 

「前満開のツツジを見たときは、

 

通勤のバスの中だったけど、

 

あの時もう赤ちゃん死んでたんだなあ。。。」

 

みたいに。

 

食べ物が、景色が、

 

少し前に見たテレビ番組が、

 

すべて「あの時はもう。。。」に

 

つながってしまって、

 

心拍確認からこの日までの

 

すべての記憶が怖かった。

 

 

 

 

言いたいことは山のようにあったけど、

 

夫に何て言っていいのかわからず、

 

ただただ泣きながらしがみついていた。

 

 

夫は

 

「赤ちゃんはまたうまれかわって

 

お腹に帰ってくるんだよ。」

 

と言ってくれて、

 

それが嬉しくて、ほっとして、

 

また泣いてしまった。

 

 

 

 

後日、落ち着いてネットで同じ境遇の人を調べると

 

「赤ちゃんはまたお腹に戻ってくる」

 

「自分が死んだときにまた空で会える」

 

と書いている人がとても多かった。

 

ちなみに、家族に報告したときも

 

生まれ変わって来てくれるよと言われた。

 

 

学会の夫が「生まれ変わり」を信じているかもよくわからないし、

 

ネットで調べたわけでもないだろう。

 

私を元気付けるために

 

夫自身が考えて出た言葉が、

 

世の流産経験者の方たちと同じような

 

励ましの言葉だったことに、

 

夫の真心を感じてずいぶんと心が安らいだ。

 

 

 

生まれ変わって来てくれる。

 

また会える。

 

生まれ変わりなんてないよって気持ちになったとしても、

 

自分が死んだときにまた会える。

 

 

どっちにしろ、

 

また赤ちゃんに会える。

 

 

 

流産する可能性は全体の15%という。

 

決して低い数値ではないし、

 

流産は多くの人が経験することで、

 

初期の流産のほとんどの原因は

 

赤ちゃん自身の遺伝子の問題で

 

お母さんが悪いわけではない。

 

だから、お母さんは自分を責めないで。

 

 

 

何度も何度も、

 

流産する前からもネットで、本で見ていたこと。

 

だから、私は自分を責めるということはなかった。

 

頭では、遺伝子のせいだから、

 

仕方のないことだから、とわかっていた。

 

乱暴にいえば、

 

よくあることなのだと。

 

 

生まれ変わりなんてない。

 

天国なんてない。

 

遺伝子に異常があっただけ。

 

心の奥では、わかっている。

 

 

 

でも、

 

「生まれ変わって帰ってくる」

 

「また空で会える」

 

という、一見安っぽい言葉に

 

私は本当に救われた。

 

言葉ってすごい。

 

 

言葉になることで、

 

やっと私は流産という出来事を

 

自分の中に位置付けられた気がする。

 

 

 

次の妊娠に臨むとき、

 

前の赤ちゃんを忘れていいのだろうか、

 

もっと悲しまないといけないんじゃないか、と

 

思ってしまう私にとって、

 

「またお腹に戻ってくる」という考えは

 

本当に救いになった。

 

 

その日から、手術の直前まで、

 

もう死んでしまった赤ちゃんに

 

何回も何回も話しかけた。

 

また帰ってきてね。

 

また会おうね。待ってるね。

 

 

それから一週間くらい、

 

昼間は元気で開き直って

 

外食したり買い物したりするのに、

 

夜になって不安になると

 

突然号泣しながら夫にしがみついて、

 

「赤ちゃん戻ってくる?」

 

とたずねる日が続いた。

 

そのたびに、

 

「戻ってくるよ。

 

生まれ変わって帰ってくるんだよ。」

 

と言ってくれた。

 

 

今から思えば、感情の起伏の激しい私に

 

本当に夫はよくしてくれてたなあ。。。

 

夜も眠かっただろうになあ。。。

 

ありがとう夫。

 

その日から、夫は苦手な家事を

 

自主的にするようになった。

 

リビングを使わず、

 

私が寝ている寝室にテレビも机も持ち込んで

 

寝室でご飯を食べた。

 

 

 

次は手術のときのことを書きます。

 

~続く~