よい子のやめ方〜高校教員をやめるまでの道のり〜

よい子の人生を送ってきたけれど、ふとこのままでいいのか悩んだあなたへ。一緒によい子をやめる練習しませんか?

「ここは天国だよ」

前の学校は、そこそこ楽しかった。

 

でも、教員の足の引っ張り合いもあり、

 

人間関係を常にうまくコントロールしないといけなくて、

 

息がつまりそうな場所だった。

 

また、授業を改善しようと頑張っている

 

お手本になるような教員もほとんどいなかった。

 

 

 

「このままじゃ、自分はダメになる。

 

もっと成長したい。」

 

そう思って異動希望を出した。

 

そのとき、同僚は

 

「ここにいたらラクなのに。

 

定時で帰れるのに。

 

ここは天国だよ?」

 

と言った。

 

 

 

当時は、向上心のない同僚だな、と

 

内心バカにしていたかもしれない。

 

ここにいたら、ダメになる。

 

もっと、もっと切磋琢磨し合える場所に行きたい。

 

 

 

転勤が決まったときは心から嬉しかった。

 

 

 

 

そして、意気揚々と新しい学校にきた私。 

 

でも、待っていたのは

 

「こんなはずじゃなかったのに」

 

と思うことばかりだった。

 

 

自分の授業力のなさも、

 

生徒の対応の難しさも、

 

一日一日、うまくいかないことに足をとられ、

 

心が削れていく音が聞こえそうだった。

 

これまで積み上げたものは

 

一体何だったんたろう?っていうくらい

 

私は何も役にたたなかった。

 

28か29歳になっていた私は

 

新卒の先生よりも、再任用の先生よりも、

 

誰よりも使えない人間だった。

 

 

 

 

 

 

そして、適応障害になってから

 

管理職に

 

「前の学校に戻して下さい」

 

と泣いて頼んだ。

 

前の、生ぬるい学校が懐かしかった。

 

前の学校の先生たちはみんな変だったけど、

 

私はそのお陰?か、

 

彼らに比べると融通もきくしやる気もあるし、

 

わりと重宝がられていたように思う。

 

前の学校が、「天国」という意味が

 

こっちの学校にきて、ようやくわかった。

 

でも、前の学校には帰れない。

 

 

 

 

 

 

今日、心許せる同僚に

 

「異動希望出そうと思ってます。」

 

と伝えた。

 

すると、

 

「確かに、せかい工房さんまじめだしね。

 

ここは合ってないかもしれないね。

 

でもね、この学校は天国だよ。

 

まず、生徒が座っている。

 

もっとひどい学校はたくさんある。

 

そして、うちより学力の高い学校だって、

 

進路指導のプレッシャーがあるし

 

生徒も保護者も教員を品定めする。

 

ここより学力の低いところも、

 

ここよりレベルの高いところも、

 

どっちもすごく大変だよ。

 

先生、ここはちょうどいいんだよ。

 

ここは天国だよ。」

 

 

 

 

 

 

言葉がでなかった。

 

 

 

私は、2つの天国を経験したのに

 

どちらも合わなかったのか。

 

そして恐ろしいのは、

 

次の学校に行ってみて

 

「ああ、やっぱり

 

前の職場の方がよかった。」

 

と後悔することだ。

 

 

 

自分の体感では

 

「今」と言う時間は常に地獄にいるのに、

 

振り替えるたびに

 

地獄は過去になると「天国」になる。

 

私はいつも時間差で天国にいることができない。

 

果たして、私は今、天国にいるんだろうか?

 

もうわからない。